『「仏の手」は、無限大の深い世界のこと 鈴木大拙の教え』
『「仏の手」は、無限大の深い世界のこと 鈴木大拙の教え』
前回のこのブログでは人間学を学ぶ月刊紙8月号の対談『人間・
鈴木大拙を語る』のお話を紹介致しました。
その中で、大拙先生が八十歳から亡くなるまでの15年間を、十五歳
の時から傍にいて、大拙先生の活動を支え続けた岡村美穂子さんの
お話を紹介しました。その中で、十五歳で悩み苦しんでいた岡村
さん掌を大拙先生がさすって「よく見てごらん。仏の手だぞ。」と
言われました。
その意味が分からず一晩寝られずに次の日に何故かと大拙先生に
聞きに行きます。結局はこの「仏の手」は、無限大の深い世界の
ことを表現されていたと気づくまで、随分と長い時間が掛かかった
と岡村さんは述懐されていました。
その話と関連させて、本日は同じく人間学を学ぶ月刊紙致知8月
号の連載第26回「生命科学社からのメッセージ」の『遺伝子をON
にして難局を乗り切ろう』という筑波大学名誉教授村上和雄先生の
お話を紹介致します。
村上先生はかつて「宇宙・生命・宗教に関するシンポジウム」で
アポロ九号の乗組員だったラッセル・シュワイカート氏と会い、
その時に聞いた話を紹介されています。
シュワイカート氏は、アポロ9号で月着陸船操縦士として、
1969年3月に241時間の飛行をされました。
宇宙から地球を見ると、真っ暗な天空の中に地球だけが明るく青く
存在していて、そのコントラストがとても美しいのだそうです。
シュワイカート氏が初めて宇宙空間に出た時、彼の姿を撮影する
カメラが故障しました。船長から「修理できると思うから、五分
ほど待ってくれ」と言われ、宇宙空間で何もすることがない時間を
過ごす羽目になったといいます。
地上との交信も途絶えた、宇宙での完全な静寂。宇宙服で漂い
ながら、眼下に輝く青い地球を、ただ眺めていたその時、突然、
何の前触れもなく「地球は生きている」と言う思いが、激しく
こみ上げてきたのだそうです。
「今、こうして宇宙のここにいるのは、私であって私ではない。
すべての地球の生命としての我々であり、いま生きている生命
だけではなく、かつて生まれては死んでいったすべての生命、
そしてこれから生まれて来るすべての生命を含んだ我々なのだ」
と彼は後に語っておられたそうです。さらに、その偉大な生命の
輪の繋がりに連なっている自分が「見えた」のだとも。
これは、正に宇宙空間の静寂の中という奇跡的な空間が導いた
悟りの境地に達した瞬間であるのだと思います。
そうした体験を、シュワライカート氏は、
「自分の生命に改めて恋をした」と言う言葉で教えてくれました。
素晴らしいお話で、自分がシュワイカート氏になりきって、
シュワイカート氏の話の世界に入り込んで美しく青い地球を見て
いる自分がいます。
このシュワイカート氏の話は、最初に紹介した岡村さんの話、
結局はこの「仏の手」は、無限大の深い世界のことということに
なるのではないかと私は思います。
村上先生はいろいろな角度からものを見て分析されるから面白い。
今世界の多くの国が苦しんでいる武漢コロナ禍についての村上先生
のお話です。
このコロナ禍は、人類の潜在能力を目覚めさせる可能性もありま
す。地球規模で見ると、人間が様々な活動をやめたおかげで、大気
汚染物質が減って空気が綺麗になったといいます。
これはこのウィルスが地球環境を守った、と言えるかもしれません。
従来のような、ただヒトの欲望を満足させ、他人よりも快適な
生活を追求するのではなく、「精神的な満足」を与える商品やサー
ビスの開発や、自然と調和する経済活動といったことも可能なはず
です。そして、サスティナブル(持続可能)ということをあらゆる
活動の指針にすることも大切なことではないでしょうか。
村上先生は訴えるように言われています。
シュワイカート氏の次の言葉をぜひ思い出してほしいのです。
「宇宙空間から眺めると、地球は美しいだけでなく「生きている」
と感じられた。そして自分の生命は、地球とつながっていると
感じた。地球に生かされていると思った。それは言葉では言い
尽くせないほどの感動的な一瞬だった」
地球は私たちの生命を誕生させ、守ってくれる唯一の惑星なの
です。シュワイカート氏が感じたように、このたった一つしかない
地球で生まれ、たった一つの命を与えられ、奇跡的な確率で生きて
いることをもっと素直に喜び合えるはずです。
本日のブログはここまでとさせて頂きます。
最後までお読み頂きありがとうございます。
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